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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第5章 5
あやみの言葉が支離滅裂なことだけは貝塚にも充分伝わる。
しかし彼は疲れたように笑うだけで深く追求するような言葉は発しなかった。
それが有り難いような恥ずかしいような気分にさせる。
あやみは拗ねたようにうつ向き、拳を握って腿の上に置いた。

「考えてみなよ、あやみちゃん。詐欺師があからさまに詐欺師だったら誰も引っ掛からないだろ?」
「詐欺師ってっ……」

うつ向いていた顔を上げ、絶句する。

「いやまあ、極端な話だよ? 騙そうとしてる人ってまともな人間の振りをするでしょ、普通」
「そんなんじゃありませんっ!!」

怒りのあまり声を荒げてしまい、あやみはまたうつ向く。
今度は肩をすぼめて縮こまるくらいに萎縮していた。
静かな店内だけにその声は周囲に轟き、他の客からは奇異の眼差しが向けられる。

「ごめんごめん。言い過ぎちゃったかな?」

しかし貝塚は気にした様子を微塵も感じさせない笑い声で謝る。
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