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恋こころ
第5章 コスチューム プレイ ?
マスカットの香り……ミスティアか?

ジロリと視線を向けると、千佳は口許に笑みを浮かべ、返されたカクテルを飲み干した。
「何飲ませたんだよ」
空になったグラスを小さく振り
「これ?」
軽い口調で聞いてくる。

それ以外に何があるんだよ

「あぁ」
ムッとしてつい声が低くなった。千佳はそんな俺に構うことなく口角を上げる。
「ミスティアマティーニ」
「はっ?」
ショートカクテルにしては口当たりはソフトな方だが、そんなの真純に飲める訳がない。
「真純に飲ませるなって言ったよな?」
「言われたね」
千佳はあっさり頷いて
「あぁ、でもさっき真純が飲んでたのにも足しといた」
トンでもない事を言い放った。
「何足したんだよ?」
「ルジェのグリーンアップル」
「はぁ!?」
道理で気付けなかった訳だ。
「どーせ今日は拓真が連れて帰るんでしょ?そんな時ぐらい良いじゃない」
しれっとした顔で言ってのけた千佳に腹が立つ。
「そういう問題じゃないだろ」
「ご、ごめんなさっいっ!」
俺の言葉を遮るように口を挟んだ真純が頭を下げ、勢い余ってカウンターに額を打ち付けた。
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