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恋こころ
第1章 お家へ帰ろう
すがり付いてきた左手。真純の頭を強く肩に押し付けた。
「ふ、ぅ……うぅ」
わざとくしゃくしゃと髪を乱し、それを整えながら頭を撫でる。

一緒に住むからには、けじめとそれ相応の覚悟が必要。
同棲を嫌がる真純を説得しながらそう思っていた。

真純に対する俺の独占欲の強さは普通じゃない。出来ることなら外から鍵を掛けて閉じ込めたいとまで思う。その心理は、恐らく真純を監禁した男とそう変わらない。自覚、している。
だからこそ、奴と同じ轍は絶対に踏まない。真純を再び闇には落とさない。

自分の欲の為だけに真純と一緒に住む訳じゃない。
真純を、真純の笑顔を守りたい。
同棲を嫌がるのは、まだ彼女の中で事件を過去だと割り切れてない証拠。受けた傷は深い。それも含めて全部、受け止める。
真純を俺に守らせて。
籍を入れるのはその証。一生を掛けて、君を幸せにするよ。
真純の毎日が笑顔で終われるように...

しばらくしてようやく泣き止んだ真純。頭をポンポンと軽く叩いてゆっくり身体を離した。涙と鼻水でぐしゃぐしゃな上、下がりきった眉。泣きはらした目と視線が合って口角が上がる。

そんなになる程喜んでくれるの?
ねぇホント、可愛過ぎだから。
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