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恋こころ
第1章 お家へ帰ろう
「……ただいま」
時間は遅い。静かにドアを閉めてそう言うとリビングのドアが開いた。前髪を上げてクロスさせたピンで止め、風呂は済ませたらしい真純がそこから顔だけ覗かせる。上気した頬と幼い素顔。目尻を下げてニコリと笑う。
「お帰りなさい」

……やっべ
萌える

靴を脱いで上がると既に真純は中に引っ込んでいて、何となく気に入らない。後を追うようにリビングに入り、ちょっと言葉を失った。
テーブルの中央に白を基調にしたフラワーアレンジメント。柔らかな藍で縁取られた砥部焼きの平皿は真純の家にあった物、ワイングラスはもともと俺の。並んで配されている事が嬉しい。
「これ、どうしたの?」
「あ、桐生さんからメールが来て……」

は?
いつの間にアドレス交換してんの?

「一緒に飲もうとっ!?」
キッチンから出てきた部屋着姿の真純を抱き寄せる。手に持っていたチーズの乗った皿を取り上げ、カウンターに置いて腕の中に囲い込んだ。
「いつから桐生さんとメールしてるの?」
「えっ?」
不思議そうに見上げられてチリッと胸の内が焦げる。
「迎えに来て頂いていた時に、お仕事中にお電話を掛けさせて頂くのは申し訳なくて……」
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