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恋こころ
第1章 お家へ帰ろう
自室に入って鞄をおろした。クローゼットの中へ片付けて、上から紙袋を取る。中を覗き、ラッピングされた小さい箱を確認して部屋を出た。
リビングへ行くとテーブルの上にさっきのチーズの皿以外にも、乾きものが並んでる。明らかに、飲み仕様。

真純、大丈夫か?

「はい、これ桐生さんから」
「ありがとうございます」
見るからに嬉しそうな笑顔に胸がチリチリする。
「こっちは金場から」
「あっありがとうございます!」
もう一段跳ねた声。

何、ソレ……

金場からの紙袋を早速覗いて、中から袋を取り出した。滑らかな質感の紫紺の袋が二つ。テーブルの上にそっと下ろし俺を見上げてくる。
キラッキラの瞳。
「なに?」
「金場さんの彼女さん、手先器用なんですって」
「……そう、なんだ」

いつ、そんな話してんの?

「それで、頼んだんです」
「うん」

何を?

「これ……」
そう言いながら開いた紺色の袋。出てきたのは淡く虹色に輝く透明なビーズで出来た、おそらくはブレスレット。一センチ程の幅に繊細な編み目。一目で手が込んでいると分かる。
「凄い、綺麗!」
真純が嬉しそうに目を大きくした。
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