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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
「舞、お前…」
ボロボロの体で私のそばへ駆け寄ろうとベッドから降りようとすると
「うっ、あっ!」
バタンッとベッドから崩れるように床に転げ落ちてしまったハルちゃん。
「ハルちゃ…」
ふっと見ると、ハルちゃんの足…
右太股に大きな血の塊がジーンズを真っ赤に染めていた。
その傷が痛んで上手く立てないでいるんだ。
「ハルちゃん…、どうして…っ」
「う、ぐっ」
その足を庇うようにうずくまり動けないでいる。
あんな怪我じゃ動けなくて当然だ。
でも、どうしてハルちゃんがこんな目に…?
どうして、私達が…?
「ハルちゃん、う、動かないでっ!私は大丈夫だからっ!どこも怪我してないからっ!」
「くっ、情けねぇ…」
私を心配してくれてそばまで来てくれようとしたんだ。
でも、私よりハルちゃんの方が酷い怪我をしてるのに。
「ハルちゃん、ここはどこなの?どうしてこんな目に遭ってるの?誰がそんな酷いことをしたのっ!?ねぇ…っ」
ここは一体何なのか…?
私とハルちゃんはどうしてこんな場所に連れて来られたのか?
そして、どうしてハルちゃんがこんな目に遭わなきゃならないのか…っ!?
もう頭の中は大混乱だ。
すると…
キィーッ
「ここは俺の親父の会社」
いきなり開かれたドア。
そして、聞こえて来たのは男性の声。
「だ、誰…っ!?」
ドアの方を見たが、日陰になってるせいで姿が見えない。
でも、私とハルちゃんをこんな目に遭わせた張本人ということだけは確かだ。
コツ、コツと足音を鳴らしながら私に近づくその人物。