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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
「確かに黒埼のお陰で会社はでかくなったし、融資してもらった金を元手にいい商品も作れるようになった。
売り上げも、ちょっとずつだが伸び始めてた、でも…っ」
「その2年後、会社は潰れて親父は多額の借金を背負っちまったっ!
どんだけ働いても、一生かかっても払え切れねぇ額だったっ!
俺達に迷惑をかけたくないと、親父は1人…、会社の事務所で首を━━━━━━」
ビクッ
まさか、桜木さんのお父さんが亡くなった原因って、自殺…?
そ、そんな…。
嘘でしょ…?
「親父の葬式が終わった後、遺品を整理してるときに気づいた。
会社や土地の権利書や契約書が全て無くなってたことを…。
親父は黒埼に騙されたんだっ!
土地と会社欲しさに嫌がる父を説得してムリヤリ会社を大きくさせ、とても経営していけない所まで親父を追い詰めたんだっ!」
「それを知ったお袋は倒れて、親父の後を追うように病気で…」
「だから、俺は誓ったんだ…。
当時はまだガキで何も出来なかったけど、いつか…、大人になったら黒埼に復讐してやると…。
親父とお袋の仇を討つんだってなっ!!」
━━━まるで、ドラマのような内容。
到底信じられる話じゃないが、桜木さんの目は狂気に満ちている。
ずっと、黒埼さんへの憎しみだけで生きてきたんだ。
お父さんやお母さんの仇を討つと、その想いを胸に秘めながら…。
でも…っ
「……あなた、本当に桜木さんなの…?」
「あ?何言ってんだ、お前…」
「だって、桜木さんはあんなに優しい人だったのに…。なのに、どうして…?」
私に見せてくれていたあの笑顔は嘘だったの?
あの優しさも、包み込んでくれるような暖かさも…、全て、全部嘘だったって言うのっ!?