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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
「相沢さんは…、単純だね。調べた通り」

「調べた…?私を…?」


「黒埼への復讐。
俺と同じ痛みを味合わせてやろうと思った。
俺の大切な家族を奪ったようにあいつの大切な家族も奪ってやろうと。
まぁ、黒埼と言えば今や日本を代表するくらいの権力者。
居場所を調べるのはそう難しくなかったよ」


「その後、裏の世界の人間や探偵を使って黒埼の身辺を調べまくった。
堅気の世界じゃあんな有名人の事は調べてくれないから、働いて金貯めて、その金を注ぎ込んで。

で、黒埼に恋人がいるってとこまでは掴んだんだけど、いくら調べても恋人の名前や顔が全然わかんねぇ。
よほど大切な恋人なのか、まるで情報が掴めない。
どこかのお城で大事に大事に閉じ込めるように隠してるのか」

「ま、仕方ないわな。
黒埼程の人間の恋人なら、黒埼の遺産や金目当てに誘拐されたり、命を狙われたりし兼ねないし」




…そっか、だから黒埼さん…。

私を外に連れて行かない理由はこれだったんだ。

黒埼さんほどの権力があれば当然黒埼さんを快く思わない人間だっている。

そんな人達から私を守るために…。



「けど、まさか…、黒埼自ら教えてくれるとは思わなかったよっ!
バカ正直に恋人の所在をわざわざ電話で教えてくれたんだから!
しかもその恋人は…、毎日職場で会ってた女だったとはなぁっ!」





……黒埼さんが職場にかけたあの電話だ。

そうか、あの電話で私と黒埼さんの関係がバレたようなものなのだから。




「相沢さんを痛め付けることが黒埼への復讐になるって考えてね。
まぁ、最初は小手調べ程度だったんだけど。
あはは、随分ショックだったみたいだね~、ロッカーの生ゴミもイタズラ電話の嵐も」

「え…、ま、さか…っ」



私と黒埼さんの関係が会社にバレたあの日、会社にある私のロッカーに敷き詰められていた生ゴミ。

その後、鳴り響き続けたイタズラ電話。

まさか、それは全部…




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