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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
あまりの激痛にハルちゃんの絶叫が室内に響いた。
「やめてっ!!ハルちゃんに何もしないでっ!!」
しかし、桜木さんの足は止まらない。
その怪我をグリグリと踏みつけ続けている。
「あっ、ぐっ」
「痛ぇだろ?でも、俺の親父の苦しさはこんなもんじゃなかったよ」
「ハルちゃんっ‼」
「相沢さんの住所を教えたあと、どうなるか見届けてやろうと後を尾行したのに…、あっさりと黒埼にやられやがって。
せめて、黒埼と相沢さんを誘き出すにカモには使えそうだったから。
勝手に警察に届けられでもしたら厄介だしな」
カモ…?
だから…
だから、復讐の邪魔になるハルちゃんを拉致してこんなところに閉じ込めというの?
それだけのために関係ないハルちゃんを…っ。
桜木さんが私に優しくしてくれたのは、黒埼さんに近づく為。
黒埼さんへ復讐することだけを考えて私に近づいて来たんだ。
そうとは知らない私は、桜木さんを信じてしまっていたんだ…。
しかし、そんな事を考えてる暇はない。
こうしてる間にも、ハルちゃんが…。
桜木さんはハルちゃんの足を力一杯踏みつけ続けてて、ハルちゃんの口から悲鳴が漏れる。
「やめてっ!!ハルちゃんは関係ないでしょっ!!桜木さんの仇は私と黒埼さんでしょ!?」
床が血で染まって行く。
このままじゃ、出血多量でハルちゃんが…っ
「お願い…、やめてっ!!」
「あ、くっ…、なるほど…。だから、俺を…っ」
「ハルちゃ…っ!?」
桜木さんに踏みつけられ、息が絶え絶えになってるハルちゃんが桜木さんに意見していた。
それは、あの日の出来事だ。
黒埼さんがハルちゃんを部屋の外へと追い出したあの日の出来事。
「へぇ。頭の回転が早いんだね。さすがだ」
「ふざけろっ!…こんな手でも使わなきゃ…っ、黒埼とやり合えねぇのかよ…っ」