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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
「あぁ。さすがに黒埼 明の女に直接手を出したら後が怖い。
黒埼に大事に守られてる相沢さんを上手く誘き出すにはどうしてもお前が必要だったんだよ…」



そんな…。

それじゃ、私を誘き出す為だけにハルちゃんをこんなところに閉じ込めてこんな目に…?

あんな大怪我までさせて…っ。


「あ、悪魔っ!人でなしっ!ハルちゃんから離れてっ!私の大事な幼馴染みを…っ!」

「仕方ねぇじゃん。こいつが逃げようとさえしなければ、俺もナイフで刺したりしねぇのに…」

「ナ、ナイフって…っ!?」











まさか…、逃げられないようにナイフでハルちゃんの太股を刺し━━━━

そこまで考えた瞬間に背筋が凍った。











桜木さんの目は尋常じゃない。

まるで、真っ暗な漆黒の闇。

その瞳の奥は憎しみの炎が燃え盛っている。



「相沢さん、本当に人を恨んでる時ってね…、回りが見えなくなって、形振りも構わなくなって、道徳や常識も捨ててしまえるんだよ」


そう言うと、桜木さんはハルちゃんの太股から足を退けた。

そして、そのまま踵を返して私に近づいて来た。

先程と同じように、コツコツと足音を鳴らして━━━━━





あ…、や、やだ…っ。

怖い…

今の桜木さんは、まるで悪魔そのものだ…。




「や、めろっ!舞に触るな…っ!おいっ!!」




いや…

来ないで…。

逃げたいのに、足も腕も、体も動かない…。




「舞に何かしたらぶっ殺すからな…っ!うっ!」




私の目の前に立ちはだかった桜木さんは

「━━━━あっ、うっ!痛いっ!」

私の髪の毛をグイッと引っ張り上げて来た。

女性が髪を結い上げるときのように、一纏めした髪をグイッと引っ張り上げたのだ。

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