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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
桜木さんの話…、あの話は全て真実なのだろうか。
もしそうだとしたら、黒埼さんは桜木さんのお父さんを…。
桜木さんの部屋で見たあの写真。
あの優しそうな笑顔の家族を…、桜木さんの家族を…。
絶望にも似た黒いもやが心を支配して行く。
何を信じればいいのかわからなくなって来る。
信じてた桜木さんまで私を…。
優しくされるどころか私を恨んでたなんて…。
心が、浸食されていく…。
私は…、黒埼さん………。
暗黒の世界に包まれたように気持ちが暗くなって行く。
もう、誰も…、何も信じたくない…、もう誰も…っ。
「舞っ!!」
「……━━━━━あっ」
「舞、大丈夫かっ!?」
その声にハッとして顔を上げると、目の前には足から大量の血を流しているハルちゃんの姿。
「ハルちゃん…っ」
そうだ。
今は絶望に浸ってる暇はない。
私よりハルちゃんの方が大変なんだから。
「ハルちゃんこそ…っ」
震える足に渇を入れ、何とか立ち上がり覚束無い足取りでハルちゃんの元へと駆け寄った。
「ハルちゃん…」
ハルちゃんのそばに駆け寄り、拘束された手でハルちゃんの頬に触れると…
久しぶりに触れたハルちゃんの頬がまるで火をつけたみたいに熱い。
そう言えば、さっきも…、私がここに連れて来られた時もベッドでぐったりしてたけど…
この怪我のせいで、熱が…っ!?
「ハルちゃん…、凄い熱…」
「心配するな…、大丈夫だから…」
大丈夫、なわけないっ!
体は熱いし、汗ばんでるのに小刻みに震えてる。
…こんな冷たい床じゃダメだ。
「…ハルちゃん、私に捕まって!」
こんな冷たい床に寝かせてたら悪化してしまう。
拘束されて自由に動かせない腕で何とかハルちゃんの肩を持ちベッドに持ち上げようとした。
こんなボロボロのベッドでも床よりはマシだ。