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BLACK WOLF~crime~
第7章 火ノ鳥
「ったく、情けねぇ…っ」
「大丈夫?しっかりして…」
ハルちゃんの体を抱えてベッドに寝かせた。
何か…、役に経てるものはないかな…?
周りをキョロキョロと見渡すと、目に入ったのは錆び付いた水道。
ここは廃墟だと言ってたし水道は使えないかな…。
それでも━━━━━━
「舞は…、どうしてここに…?」
「ハルちゃんの捜索願いを出そうと一緒に警察に向かおうとして、そのまま眠らされて…。ハルちゃんは?」
ピチャン、ピチャン…
ポケットに入ってたハンカチ。
蛇口を捻ると、水滴が数粒落ちて来たので、何とかハンカチに水分を含ませる。
「あの日、お前のアパートの下であの桜木とか言う男に出くわしたんだ。他人にお前の詳細を話す訳にもいかねぇし…。せめてイタズラ電話の犯人を特定しようと警察に行こうとしたら後ろから殴られて…」
水分を含んだハンカチでハルちゃんの顔を拭っていく。
こんな水分で熱が冷めるとも思えないけど…。
「あの桜木って奴、マジで黒埼を誘き出して痛め付ける気だろうな。一応俺には飯やら水分やらを運んで来てくれてるから殺す気はねぇんだろうけど…」
よかった。
ちゃんと食事と水分は与えられてるみたいだ。
それでも、私に関わったばかりにこんな目に…。
こんな大怪我を…。
「ハルちゃん、ごめんね…。私のせいでこんな怪我を…」
私と関わらなければこんな目に遭わずにすんだ。
今頃はいつもみたいに会社に行って、友人と楽しくお酒飲んだりして過ごしてるはずだったのに。