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BLACK WOLF~crime~
第9章 君ノ笑顔
「そうだよ…。あの時は家族全員お前に感謝したさ…。けど、その後、お前は嫌がる親父をムリヤリ説得して更に会社を拡大させたっ!その結果、親父は━━━━━━」

「その逆だっ!!」


桜木さんの声を遮るように黒埼さんの大声が響いた。



…逆?

逆って、どう言うこと?

黒埼さんが会社を拡大させたんじゃないの…?



「調子付いたお前の父親が勝手に会社を拡大させたんだ。
今までの売上金と、足りない分はサラ金から借り、会社を担保に多額のローンを抱え出した。
俺は必死に止めたんだ」

「バ、バカな…っ」



……桜木さんのお父さんが…?

それじゃ、黒埼さんがムリヤリ会社を大きくさせたんじゃないの?

桜木さんは、信じられないと言った顔を見せている。

それもそうだ。

今までそうだと思い込んでいた事実がひっくり返ったのだから。


「う、嘘だっ!誰がそんな話…っ」

「本当の話だ。
恐らく、土地や会社の権利書はその時に明け渡したんだろう。
そのせいで毎月多額の支払いに終われオモチャ製作に回す資金が減り出来映えが下がり出したんだ。
売れ行きもどんどん減少して行き、とうとう手の付けられない所まで落ちてしまい、責任を感じたお前の父親は━━━━━」



そんな…。

それじゃ、桜木さんがやって来た事は…。


黒埼さんへの復讐を胸に生きてきた桜木さんは…。





「嘘だ…、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だっ!!」

桜木さんの悲痛な叫び声が木霊する。

その場に踞るように桜木さんは頭を抱えて倒れ込んでしまった。



「海外進出をけしかけた俺にも責任はある。
せめてこの建物だけは残せるようにと話を付けたんだが…」







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