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快楽の奴隷
第10章 幻のいる間
はぁ、とため息をついた花純は鷹のマスクを手に取り、繁々と眺めた。

「こんなものまで用意して……」

それは以前彼が南仏の街で見掛けて一目惚れして購入したものだったが、もちろん自慢げにそのエピソードを語るのは自粛した。

「でもまあ……高梨さんなんだろうなぁ、とは思ってましたよ……」

花純の表情に僅かだが笑みが戻り、高梨はホッとする。

「高梨さんならこんなバカなことしそうだし……それに……」
「それに?」

照れ臭そうな花純に続きを促す。

「それに、おち……んちんの感じが高梨さんだったから……」

恥ずかしいなら言わなければいいのに、と心の中でツッコミながら高梨は笑う。

「花純の膣は俺のかたちになってるからな」
「調子に乗り過ぎです」

腰元に伸ばしてきた手をぱちんと叩き、花純は怒りながら笑う。

「でも……怖かったけど……ちょっと……気持ちよかった、かも……」

素直に認めてサッと顔をそらす。
その仕種が高梨の心を強く揺さぶった。
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