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快楽の奴隷
第11章 文士と絵師
「隣の部屋でも駄目だ。マンションから出ていけ」

立山は仕事中誰にも邪魔をされたくない。
モデル以外の人間が近くにいるだけで集中出来ない人間だった。

「幻野先生。ここは二人を信じて行くッス」
「何かあったらすぐに連絡しろよ、花純」

高梨は悔しげに立ち上がる。

「はい。もちろんです」

決意が揺らがない花純は真剣な眼差しで返事をする。
自分のためにヌードも辞さない花純がいじらしく、高梨はその唇にキスをする。
人前でのキスになれない花純は頬に血流を集めて朱色に染めた。

二人が部屋を出ていくと、さすがに花純も緊張が増す。

「あの、まずはどうすればいいですか?」

緊張して変な空気になるのを恐れ、花純は出来るだけ自然な声で尋ねる。

「時間もないしさっそく服を脱いでそこに立ってくれ」

タブレットを構えた立山は真剣な表情で指示する。
先ほどまでの高梨をからかったような表情は消え、職業的威厳の漂う表情だった。

それは小説を書くときの高梨の表情に、似ていた。
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