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快楽の奴隷
第11章 文士と絵師
「けどな……あまり深入りはするな」

そんな花純の恍惚を立山がたしなめる。

「あいつは芸術家だ。芸術家を追い求めるとろくな結果にはならない」

立山の言葉に花純は強い反発を抱いた。
たとえ芸術家であっても一人の人間だ。
確かに高梨は浮世離れしているが、しかし花純は高梨から確かに愛されている実感があった。
けれど何か反論する気にはならなかった。
その思いは自分の中で大切にしたい。
口に出して言えば陳腐なものになってしまう気がしていた。

会話はそこで途切れ、それからは静寂の中での創作が続いた。

「お疲れ。終わりだ。服を着ていいよ」

開始から三時間後、スケッチは終了した。

「次はいつモデルになればいいんですか?」

下着を身に纏いながら確認する。

「いや。もうこれでいい」

タブレットをしまいながら立山が答える。


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