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快楽の奴隷
第11章 文士と絵師
「えっ……でもまだ」

いくつものポーズの下絵しか描いていないのは絵を見なくても分かった。

「俺は一度網膜に焼き付けたものは忘れない。そういう力があるんだよ……」

こめかみ辺りをノックしながら立山はウインクをした。
一度見たものを完全に記憶出来る能力があることを花純は思い出していた。
確かサヴァン症候群、だったろうか?
花純は朧気な記憶で思い出していた。

服を着た花純はスケッチが終わったことを高梨に電話で伝える。
それから一分もしないうちに高梨は部屋に飛び込んできた。

「変なことされなかったか!?」

必死な姿を見て花純は吹き出してしまう。
以前執事と三人で交わるなどということを平然としたくせに、と。

「はい。大丈夫です」
「そうか。よかった……」

高梨は花純を抱き締めると優しく唇を重ねた。

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