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快楽の奴隷
第17章 闇と光
「そんなっ……」

立山に言われた言葉を心が撥ね付ける。

--私はただ高梨さんを愛しただけっ……

--愛する人の苦しみを憂い、癒してやることがいけないことなのっ……!?

--彼の全てが欲しくなるのは赦されないことなのっ……!!

抗って心の中で反論すればするほどに、立山の言葉は真理を射ていると認めずにはいられなかった。
けれど素直には認められない。

「もちろん創作の根幹がそんな負の十字架じゃない作家も沢山いる。けれど奴は違う。高梨が綴るのは赦しへの渇望と心の闇からの逃避だ」

高梨の全てを見抜いたような断定だった。

「だったらどうすればっ……」

自然と溢れた涙は頬を伝い、流れ落ちる。
震える声は子供のように自棄を起こした苛立ちを含んでいた。

「そんなことまで教えなきゃ分からないのか?」

心底呆れた顔をして立山が笑う。
手が伸び、花純の顎を指で持ち上げた。
花純はビクッと震えて肩を硬直させる。
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