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美しい狼
第7章 生まれた狼
その子は
僕の意志なんかお構いなしに
僕の手をぎゅっと握りしめたまま
家へと着いた
「お母さーん、妹できた~」
「ちょっ!何言ってんのこの子はもう!!」
「あら、可愛いお友達ね
まあまあ大変、びしょ濡れじゃないの」
と
彼女のお母さんは
僕の頭や体をタオルで拭いてくれた
優しい手だと思った
彼女のお家は
凄く小さくて、あちこち穴が開いていた
お金に困っていることは
すぐに分かった
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「ふじ……かなめ………」
「カナチャンかぁ~名前も可愛い!!」
名字を言うのが
嫌だった
もし、コイツが
僕の事を本当は知っているのなら
隠しても無駄だけど
心の中で
毒づきながら
手の温かさを思いだしていた
おやつといって
出されたのは
パンの耳を揚げて
砂糖をまぶしたものだった
こんなもの
食えんの?
って思ったけど
恐る恐る
一口かじると
甘くて、香ばしくて
優しい味が口いっぱいに広がって溶けた
「美味しいね!」
って満面の笑顔で言われて
僕も自然と笑顔になって
頷いた
その後は
服を乾かしてもらって
狭いけど
温かいお風呂に入って
絵を描いて遊んだり
ママゴトして遊んだりした
気付いたら
あっという間に夕方で
早めに帰ってきたお父さんと一緒に
夕飯までご馳走になった
質素だけど
手作りの夕飯は
おいしかった
きっと、お母さんの愛情がこもっているから
「かなチャン、お米がついてますよ」
って
僕の頬についた米粒を取ってくれた
僕の
お母さんも
こんな風にしてくれたんだろうか
胸の奥が
きゅぅうと苦しくなった
ご飯の後、
彼女のお父さんが
家まで送ってくれた
僕の意志なんかお構いなしに
僕の手をぎゅっと握りしめたまま
家へと着いた
「お母さーん、妹できた~」
「ちょっ!何言ってんのこの子はもう!!」
「あら、可愛いお友達ね
まあまあ大変、びしょ濡れじゃないの」
と
彼女のお母さんは
僕の頭や体をタオルで拭いてくれた
優しい手だと思った
彼女のお家は
凄く小さくて、あちこち穴が開いていた
お金に困っていることは
すぐに分かった
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「ふじ……かなめ………」
「カナチャンかぁ~名前も可愛い!!」
名字を言うのが
嫌だった
もし、コイツが
僕の事を本当は知っているのなら
隠しても無駄だけど
心の中で
毒づきながら
手の温かさを思いだしていた
おやつといって
出されたのは
パンの耳を揚げて
砂糖をまぶしたものだった
こんなもの
食えんの?
って思ったけど
恐る恐る
一口かじると
甘くて、香ばしくて
優しい味が口いっぱいに広がって溶けた
「美味しいね!」
って満面の笑顔で言われて
僕も自然と笑顔になって
頷いた
その後は
服を乾かしてもらって
狭いけど
温かいお風呂に入って
絵を描いて遊んだり
ママゴトして遊んだりした
気付いたら
あっという間に夕方で
早めに帰ってきたお父さんと一緒に
夕飯までご馳走になった
質素だけど
手作りの夕飯は
おいしかった
きっと、お母さんの愛情がこもっているから
「かなチャン、お米がついてますよ」
って
僕の頬についた米粒を取ってくれた
僕の
お母さんも
こんな風にしてくれたんだろうか
胸の奥が
きゅぅうと苦しくなった
ご飯の後、
彼女のお父さんが
家まで送ってくれた