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美しい狼
第10章 乳飲み子
俺は
食べていた弁当のおかずを
吹き出した

「ハァ?」

日頃から
夏目はおかしな女だと思っていたが
とうとう
頭がパンクしたらしい

「おっぱい飲んで下さい」
って
誘ってんの?
いやいや
コイツの目は恐ろしく真剣だ

電車での俺の言葉を
どうやら
勘違いして受け止めてしまったようだ

俺は
あんな美人なおっぱいを
ところかまわずいつでも吸えて
赤ん坊って羨ましいなぁ
って言う不純極まりない発言だ

しかし
夏目は
寂しいと思っていやがる

本当に
鈍感すぎる

でもまぁ
これで
今日こそ最後までイケるかもしれねぇし

ラッキーな提案だよな

「お前、処女のくせにおっぱいなんか
 でねぇだろうが!」

「うっ…そうですよ!
 子どもも産んだことないし、
 おっぱいなんて出ません!!
 でも
 だからお互いに疑似体験をするんです
 こんな気持ちになるのかと……
 わたわたしはッッ……
 要様に知ってもらいたいのです
 母親の愛情が
 どんなものかを…………」

目を真っ赤にして
必死に説得してくる
夏目がだんだん
可哀想になってきて
話に乗ってやることにした

「そこまで考えてくれんなら
 俺もやってやるよ!
 ……途中で恥ずかしいとか
 嫌って言っても
 止めないからな!!!」

「………ハイ!!」

夏目は
本当に嬉しそうに笑った

これから
どんな目に遭うかも知らずに
俺の気も知らずに

ホント
変な女………
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