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美しい狼
第13章 溢れる
よく
こんな話を耳にします

体温の下がった
人間を温めるには
肌と肌を合わせて温めることが
一番だと…

ならば
もし
私が雪山で遭難したり
海で溺れたりしたら
要様は
温めてくれるでしょうか?

きっと
温めてくれるでしょうね

だけど私は
要様の熱で
溶けてしまうでしょう

私を見つめる瞳
私を呼ぶ声
吐息
私の手を握る手
抱き締める腕

全てが
燃えるように熱くて
熱くて
要様の熱が
私を飲み込んでいく

私は
抵抗もできずに
溶かされ
貴方以外の何処へも
行けなくなってしまう

怖い
溶けてしまいたいと思うから

どこからが私で
何処までが貴方なのか
分からなくなるほど
溶けて貴方に染みていく

きっと
貴方の熱に触れたら
私は
貴方なしで
生きていけなくなってしまう
怖いんです

誰かをこんなに
切望するなんて
思ってもいませんでした

要様
あなたが欲しいのです
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