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美しい狼
第3章 百合?
「イったな
 許可もなくイクなんて
 ホント
 躾が出来てない奴隷だね」

えっ
今…
なんて?

奴隷?

「そうですよね……
 要様は
 私が嫌いだから
 貧乏な娘だから
 馬鹿にして
 こんなイジワルをなさるんですよね 
 私は確かに
 実の両親に
 身売りされました。
 お金の為に
 でも
 それでも!
 私にだって感情や尊厳くらいあるんです!!
 奴隷だなんて
 あんまりです」

「お前…
 立場をわきまえろよ?
 おまえの全て俺のものだ
 お前の意志さえ、俺が決める
 お前は、
 俺がいないと生きることさえ
 許されないんだ
 それが嫌なら
 一家心中でもするんだな」

「っ……
 ボロは着てても心は錦
 って言葉ご存知?
 私は、
 貧乏暮らしがしみついた
 貧乏娘ですが
 あなたほど
 心は貧しくない!
 要様の容姿がどんなに美しくても
 そんなみすぼらしい心じゃ
 私の方がよっぽどマシです!!
 
 私は、
 あなたの奴隷になった覚えはないし
 今後なるつもりもありません。
 召使いとして
 役目を全うさせて頂くだけです!
 少しでも
 あなたの美しさに心を奪われた
 私がバカでした!」

「みっ
 みすぼらしいだと?」

「お金の為に
 家族の為だけに
 働きます
 あなたの奴隷になんか
 一生なりません!!」

阿呆な私は
こともあろうか
ご主人様に刃向かって
脱がされた洋服をかき集め
部屋から飛び出したのでありました。

「あんな
 あんな人だったなんて!
 キスなんかされて
 あんな…///
 もぅ……帰りたいよ」

外見に惑わされ、未知の感覚に翻弄され
大切なものを無くしかけた自分が
情けなくて
涙が止まらないのでありました。
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