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美しい狼
第20章 かき氷と欲望
花火も終わり
祭りも帰る人々で
ごった返す中

「なぁ、夏目…
 これ食えよ」

俺は
どうしても気になって
仕方なかったものを
夏目に渡す

食べやすいように
座れる場所を探し
俺はわざと
夏目と向かい合って座った

「わぁ、おいしそう!!
 こんなにオッキなフランクフルト
 見たことないです!」

「だろ?
 フランクフルトにもマナーが必要だ
 正しい食べ方があるから
 よく聞けよ」

「はい!」

純粋な夏目は
疑うことを知らずに
俺の真似をする

「まずは、すぐに噛んではいけない
 下から上に向かって
 ケチャップやマスタードを
 舐め取るんだ」

「はぃ…
 ンン…レロレロ
 ペロペロ……チュッちゅう~
 こうですかぁ?」

「そうそう…
 次に、咥えて口を上下にスライドさせる
 それしながら俺を見るんだ」

「はっハイ……
 チュプ…ンンッ…ジュプジュプジュプ
 できてまふかぁ?」

「エッロ……」

「えっ!?」

「お前…誘ってんの?(笑)」

さすがに
鈍感な夏目でも
気遣いたらしい

顔を真っ赤にして
怒っている

そんな表情さえ
今は腰にクル

「なぁ、夏目…
 さっきの家に帰ったら
 俺にもしろよ」

夏目の耳元で囁く

茹でダコのように
更に
顔を真っ赤にさせた
夏目は
恥ずかしそうに
浴衣の裾をギュッと握り締め
小さく頷いた
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