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知代の性活
第6章 九月 身も心も濡れた夜
 九月になって、少しは日差しも和らぐかと思ったが、まだ暑さは東京に頑固に居座っている。
 それでも、太陽の眩しさの中に、八月にはなかった儚さのようなものが、九月の太陽にはある。

 ピカピカの夏が終わり、何だか少し切ない秋へと向かう、そんな時期。

 電車の中で、知代は少し詩的に、そんなことを考えている。

 うん、このフレーズは新しい曲の歌詞に使えそうね。

 スマホのメモ帳に、今思いついたばかりの言葉を並べる。
 それに熱中し過ぎて、うっかり乗り過ごしてしまいそうになってしまった。

 高田馬場から山手線で池袋へ。そこからりんかい線直通の電車に乗って三十分ほど。

 春に行った幕張のイベント会場と並んで、日本でも最大級のイベント会場。
 そこが今日の仕事場。

 この日は展示会の仕事。
 ある分野の関連企業が、それぞれの技術や商品を披露する。
 初日は平日に開催され、出展企業のさらに関連会社や、その周辺で仕事をする人達が来場する。
 二日目は土曜日、一般開放され、誰でも来ることが出来るようになる。

 知代がいるブースには、コンパニオンが十名ほど、交代で来場者の対応をしている。
 チラシを配ったり、ブース内でのミニステージで商品の説明会がある時間になると、集客に務める。
 
 形のいい太ももを見せびらかすように、尻の下がはみ出るほど短いパンツに、胸を強調するような、体にぴったりフィットしたチューブトップの上に、腹が見えるくらい短い、企業のロゴが入ったノースリーブベストを着ている。

 みんな、綺麗だなぁ…

 知代は思わず見とれてしまう。

 スラリと長い足。つんと尖った胸。
 長さは様々だけど、誰もがサラサラで、いい匂いのしそうな髪の毛。

 イベント業界で仕事をするようになってから、何度かコンパニオンと一緒になっているが、今日のこのブースのコンパニオン達が、今まで見た中でいちばん綺麗で、いちばん可愛かった。
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