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知代の性活
第7章 十月 愛をもって脱がされる
 真紀は穏やかな口調で、知代に語りかけた。

 自分の母親も、新しいお父さんと再婚した。
 その義理の父親に、中学三年間、繰り返し犯されていたのだ、と。
 高校時代は、そんな父親から逃げるようにして過ごしたのだという。

 それでも一緒に生活している以上、逃げ切れるものではなく、回数は減ったとはいえ、行為自体は無くならなかった。

 その後の真紀は、男性と体を重ねることが出来ず、大学時代にそのトラウマを克服するまで、ずっと女を抱く女として生きてきた。

 その過程で志穂とも体の関係があったのかもしれないし、二人の親密さを見れば、今も関係が続いているのだと、知代は推察する。

 真紀の話は、知代にとっても衝撃だった。
 自分よりも辛い体験をしてきた人がいる。

 でも、その真紀はとても優しく知代を迎え入れてくれている。

「志穂とかね、みんなに支えてもらったんだ。
 久しぶりに男の子とセックスした時に志穂にもいてもらって、ずっと抱きしめてもらってたの」

 懐かしそうに、志穂も頷く。

「結局ね、私はただ怖がっていただけ。今まで男の人とのセックスで優しくされたことがなかったから。
 でも、志穂とかその時の男の子が優しくしてくれて、今は大丈夫になったの」

 真紀は、知代をまっすぐ見て言葉を連ねる。

「知代ちゃんの話聞いてね、彼氏君って、とっても優しい人だと思ったの。知代ちゃん見てても、きっとそうなんだろうなって思うよ。
 志穂も知代ちゃんを気に入ってるしね。

 だからさ、思い切って彼氏君に打ち明けてみなよ。
 口でするのが苦手なのは、今までそれで辛い思いしかしたことがなかったからかもしれないよ。
 彼氏君が喜んでくれたら、知代ちゃんも嬉しくなって、苦手じゃなくなるかもしれないし。
 
 少なくとも、それで知代ちゃんのこと嫌いになったりするような、知代ちゃんが選んだのは、そんな彼氏君じゃないでしょ?」

 真紀はにっこりと微笑む。
 
 この人達と知り合えてよかった。
 心の底から、知代はそう思った。
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