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知代の性活
第1章 四月 強引な人生初の絶頂
 翌日。藤井と二人で電車に乗り会場へと向かった。
 車内は昨日と同じく満員で、今日もまた触られるのではないかと体を硬くした知代だったが、藤井はそんなそぶりすら見せず、スマホに見入っている。
 ホッと胸を撫で下ろすも、昨夜あんなことをされた相手と二人でいて、気まずいことこの上ない。
 たった数駅とはいえ、胃の痛くなるような思いで電車に揺られた。

 無事に会場に着き、今日からのスタッフと顔合わせをして、また仕事が始まった。
 知代のいる藤井のチームは、この二人以外は昨日とは違うスタッフが来ている。
 自然と知代の仕事上の負担も大きくなり、藤井との気まずさも上手い具合に忘れるほど集中して働いた。
 それでも自分では判断のつかないことがあると藤井の指示を仰がねばならず、仕事だから、と仕方なく藤井に声をかけた。
 藤井は適切な指示をくれ、緊張しながら声をかけた知代を拍子抜けさせるほど、昨夜のような危険な雰囲気は微塵も感じさせなかった。

 もしかしたら、自分の男性経験が少ないから必要以上にナーバスになってしまっているだけなのではないのか。
 そんなふうに考えてしまうほど、昨夜と今の藤井はまるで別人だった。

 よくあること、とまでは言わないけど、私が気にしすぎているだけなんだろうか。

 でも、あんなことされて…
 だけど、そうよ、今は仕事中だもん。あんなことされるわけないよ。
 だから大丈夫。絶対にもう大丈夫なんだから。

 知代は自分にそう言い聞かせながら、仕事に集中する。
 実際に藤井からは昨夜の事を思い出させるような気配もないし、あんなことをされたせいで寝不足で、仕事の疲れもあって、藤井への警戒を知代はすっかり緩めてしまった。

 またしても危機が迫っているなどとは露ほども思わずに。
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