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知代の性活
第11章 二月 性も根も果てるまで
 昨夜から今朝にかけて、新堂に繰り返し犯された体は若干の疲れを覚えていたが、ステージに立つと、そんなことは忘れることが出来た。

 すぐ近くに、今も知代を犯そうと狙っている男がいることすらも忘れて、知代は歌った。

 歌うことが全てを解決してくれる。
 嫌なことも忘れさせてくれるし、歌うと元気が出る。

 やっぱり自分は歌が好きなんだな、と改めて知代は実感していた。

 ステージの前に並べられた椅子の向こう、立ち見をしている客のいちばん隅、そこに和也が立っていた。
 熱心にステージ上の知代を見ている。

 知代は和也に気付いて手を振ると、恥ずかしげに小さく振り返してくれた。

 和也が来てくれている。
 
 知代はとっても嬉しかった。
 

「来てくれたんだ」
「うん。仕事がどうにか休めてさ」
「連絡してくれればよかったのに」
「知代ちゃんを驚かせようと思って」
「うん。びっくりした。でも嬉しい!」

 ステージの後、知代は和也をステージ裏に呼んだ。
 飛び跳ねるようにして喜ぶ知代は、見慣れないステージ衣装姿。

 それがとても可愛らしく、本当のアイドルのように思え、和也は照れてしまった。
 
 次の出演時間までは自由時間だ。ステージの周りでチラシを配ってもいいし、たくさん並んだ屋台で何か買って食べてもいい。

 チラシを配るのは、他の出演者さんのステージが終ってからのほうがいい。
 
 そう思って知代は、和也を誘って屋台で食べ物を買うと、コテージの自室でゆっくり食事をすることにした。

 自室の窓からステージの様子を見ることが出来るし、男性バンドの演奏が聞こえてくる。

 そうやって少しだけイベントの雰囲気を楽しみながら、和也と二人、のんびりと過ごす。

 とはいえ、そんなに長い時間は取れない。
 午後のステージに向けての最終打ち合わせもあるし、その前にはチラシ配りもしておきたい。
 打ち合わせは、午前のステージに立ってみて知代自身が感じた音の響き方や音源の音量など、細かいところを直せる最後のチャンスでもある。

 せめてそれまでは、和也と二人でゆっくりしたい。
 甘えるように肩に頭を乗せた。
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