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第1章 四月　強引な人生初の絶頂

　浅山知代。十八歳。

　高校卒業後は就職はせず、夢である歌手になるため、バイトをしながらボイストレーニングに励んでいる。
　時々、小さなライブハウスやストリートで歌うこともあり、シフトを組むバイトがなかなか難しく、この春から登録制のイベント系の派遣スタッフとして仕事をすることになった。
　会社から仕事の紹介があり、スケジュールが合えばその仕事を請ける。
　裏方とはいえ、将来歌手になりたい知代にとっては、イベントに関わるのも無駄ではないと、前向きに考えている。

　そして今日が初仕事。
　幕張で開催される大きなイベントにスタッフとして参加する。

　そのために早起きして、電車に乗った。
　知代の家は、新宿区の高田馬場駅が最寄り駅。
　幕張までは遠かった。

　会社に指定された自分と同じように、チノパンを履いている人が何人か乗っている。
　もしかしたらあの人達も、同じイベントに向かうのかもしれない。

　とはいえ、大きなイベント会場でたくさんのブースが並ぶらしい今回のイベント。
　きっと同じ会場にいても一緒に働くことはないだろう。

　電車内はイベントスタッフらしい人、それに向かうお客さんらしい人、そして通勤通学の乗客で混雑していた。

　春とはいえまだ朝晩は肌寒い。
　今回はチノパンとスニーカーが指定。

　知代は、セミロングの黒髪。
　細い体は、健康的なイメージを相手に与える。
　知代自身は胸が小さいことが悩みだが、知代の印象からして小さい胸は似合っている。
　そのスラリとした体を春物のコートに包んだ知代は、百点満点の美少女ではないかもしれないが、十分に男の目を引く魅力を持っている。