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知代の性活
第3章 六月 断れなくて、自慰
「そうでしたか…」

 長田は席を外すと、他の社員と何やら小声で話しはじめた。

 怒らせてしまっただろうか?
 
 知代が体を小さくして待つと、長田が戻ってきた。

「そちらの事情もよく聞かずにすいませんでした。何分、初の開発商品なもので、舞い上がってしまったようで」
「いえ…あの、こちらこそ、すいません…」
「いえいえ、そこでなんですが、改めてお願いがありまして」
「…何でしょうか?」

 コホンと、咳払いをひとつして、長田は続ける。

「こういう商品ですから、やっぱりそれなりに、そういう方面に興味がある女性をターゲットにしていたんですが、浅山さんのような、経験の少ない人の感想も是非にと、聞いてみたい、と」
「え…」
「つきましては、その、何なんですが、謝礼金は倍額お支払いしますので、お願い出来ないかと」
「あの…でも」
「ああ、使い方が分からないというお話でしたから、それはこちらで手伝わせて頂こうかと」
「え…っ!?」
「出来ればこれから、今ここで」

 長田は真剣に、ふざけているでもなく、真面目に頼み込んでくる。

 この会社の立ち上げと、商品の開発に多額の費用を投入している。この商品は会社の命運どころか、この数人の社員の運命も背負っているんです。

 長田は語る。
 他の社員も、真剣な面持ちで見ている。

「あの…それはちょっと…」
「そこをどうにか。経験の少ない人向けの商品なら、まだまだ入り込む隙間がありそうです。もし、浅山さんに満足してもらえれば、会社としても自信を持ってやっていけます」
「…で、でも…ここで、ですか?」
「はい。どうにか」

 どんなに断っても、長田は重ねて頼み込んでくる。
 それだけこの商品に懸けているのだろうか…

 知代はとうとう折れてしまった。

 それだけ長田は、誠実で必死だった。
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