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第5章 八月　初めて喉を通る感触

　工事前のそこは、もともと何かの店だったのだろうが、外壁は取り払われ、工事用のフェンスで覆われている。
　足元には、砂利やコンクリートの破片が転がっているが、少なくとも楽器を濡らすこともなければ、雨が入り込んでくることもない。

　お知らせのビラや折りたたまれ分解されたスタンドを入れたキャリーバッグに立てかけるように、ギターケースを下ろした。