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莉愛菜と彼の主従関係~あなたのために~
第3章 夏の夜
寺井さんに送ってもらって、花火が良く見える土手の近くまでやって来たあたし達。
あたしは海斗に手を引かれ、たくさんの人が行き来する道を歩いていた。
「莉愛菜。手を離すなよ。」
「うん。大丈夫。」
たくさんの人が歩いていて、逸れそうな場所なのに大丈夫なのは、あたし達の周りだけ道ができるから。
”清瀬海斗”の存在に周りの人たちが気付いて、その存在感に思わず道を開ける。
この1年で慣れた光景。
あたしはなるべく気にしないように歩くのが癖になった。
それでも聞こえてくるのは
”あれ、清瀬じゃないか?”
”あ、本当だ。兄貴の方?”
”清瀬君かっこいい~!!”
”彼女いるって本当だったの?!”
”え?あれが彼女?!”
”ずる~い!あたしも海斗さんと花火見たい”
周りの人たちの声。
こればっかりは、気にしないように目を逸らしたところで聞こえてきてしまう。
これにも慣れてきたんだけどね。
いつも海斗がいる事に驚いたり慌ててたりする声と、あたしへの妬みの言葉が殆ど。