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キミといる場所
第1章 出逢い

「カフェ?」

昼休みにコンビニおにぎり。
あぁ昨日もコンビニだった。
女子力と共に食生活も低下中だなぁ。

「はい、所長が言ってましたぁ」

花穂ちゃんはプチトマトを刺したフォークをクルクル振っている。
彩り豊かな手作り弁当…あぁ羨ましいよ、実家暮らし。

「来週から改装工事が始まるのでお騒がせします、
って所長に挨拶しに来たんですって、長谷川さん♪」

「ハセガワ?」

「そーですよぉ、イケメンの名前♪」

「へぇ」

「25歳ですって!」

「へえぇ」

その若さでオーナーとは。
いくら地方都市とはいえ、
それなりの資金と知識が必要だろうに。
なかなか侮れないイケメンかもしれぬ。

「ランチもやる予定だそーですよぉ。そしたら私、お弁当やーめよっと」

えー、じゃその弁当を私にくれ。

「ランチだけかな?夜は飲める店だといいよねぇ」

「わ、所長とおんなじこと言ってるぅ」

21歳の花穂ちゃんと43歳の相田。
ちょうど真ん中32歳の私。
オヤジ世代の相田寄り思考、上等じゃないか。
別に女を捨てた訳じゃないが、女を必要ともしていない。

ゆるふわボブにレースのスカート。
持ち物は花柄モチーフで、映画なら断然恋愛もの。
仕事か合コンかなら迷わず合コンをとり、
トイレでキメ顔の確認を怠らない。
女子中の女子が花穂ちゃんだ。

今はこんな私だが、花穂ちゃんのように恋愛第一主義の時代もあった。
25歳の夏までは。

記憶の蓋が開きそうで、私は慌てて頭を振った。


午後からは、徹夜で完成させたデザインを元に
構造担当の山田くんと打ち合わせをし、
施工の始まっている別の現場で確認作業、
戻ってきて事務作業、あっという間に1日が過ぎていく。

コンビニでビールと惣菜をテキトーに選び、
独りのアパートに戻ったのは22時を過ぎた頃だった。
太るよなぁ…この時間のビールと唐揚げ…。
つうか、夜食もコンビニって。

食生活の改善のためにも、あのイケメンカフェが早くオープンすればいいのに。
そんなことを思いながらベッドに入り、2分後には深い眠りについていた。
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