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キミといる場所
第8章 制御不能な夜
震えがおさまり呼吸が整って、
ふらふらと立ち上がると時計は深夜近くを指していた。
窓ガラス越しに見たcocoliの店内に、明かりがついている。

心配してくれてるのであろう、
通りの向こうで明かりを灯す
長谷川くんの気持ちを想うと
また涙がこみ上げてくる。

長谷川くんを傷つけてしまった。

胃袋が捻れるような後悔に、目を閉じた。

7年も経ったというのに、
まだ過去に振り回されていることが
悔しかった。
沢山のものを失い、沢山のものを捨てて築き上げたここでの生活に
まだあの事件がつきまとっている。
その事が悲しく情けなく、
捻れた胃袋から全身に震えが走る。

もう失いたくない。
ようやく誇りを持てるようになった仕事も。
暖かい人たちに囲まれたこの職場も。
そして私を優しくしてくれる、大切なあの人も。

「負けない」

声に出した。

倒れた椅子をもとに戻し、
スリープしていたパソコンを立ち上げる。

通りの向こうの
掛け替えのない灯りに照らされて、
『幸せな家造り』に挑んだ。

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