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キミといる場所
第8章 制御不能な夜
私は貯金もなく小さなカフェのオーナーのあなたが好きなの!
と言えばいいのだろうか。

こんな雰囲気の中で自分の気持ちを伝えるのは嫌だった。

「仕事、残ってるから」

私はパソコンに向き直った。
モニターが滲んで見える。

「わかってないよ…長谷川くんは…」

泣き顔を見られるのが嫌で、
背を向けて立ち上がった。

その時。

後ろから腕を引かれ抱きすくめられた。

「ごめん…俺、菜緒さんが…」

掠れた長谷川くんの声が耳元で聞こえた気がするが、
反射的に私は彼を突き飛ばしていた。

「…や」

おぞましい夏の夜がフラッシュバックする。
腕を捕まれ後ろから羽交い締めにされた。
そのまま茂みに引きずっていかれ…。

「いや!」

カラダ中が震え、歯の根が合わない。
両手で自分を抱き締め座り込む。

「ごめん、菜緒さん」

突き飛ばされた長谷川くんが私を立たせようと腕に触れる。

「大丈夫?ごめん」

「いやっ、触らないで」

あの時の恐怖に飲み込まれないよう
歯を食いしばる。

落ち着け。
あいつじゃない、長谷川くんだ。
ここは事務所だ。

尋常ではない私の様子に固まってしまった長谷川くんに、
あなたのせいではない、と説明したい。
でもパニックになった私は呼吸することすら難しく、
身を縮めたきり動けなかった。

「菜緒さん…」

「ごめん…大丈夫だから」

「でも…」

「お願い…帰って」

呆然と立ち尽くす長谷川くんの気配だけ感じながら、
私はきつく目を閉じたままお願いした。

「…気にしないで…とにかく帰って」

しばらく私を見守っていた長谷川くんが

「ごめん」

と出ていってもまだ、私は冷たい床で身を縮めていた。

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