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キミといる場所
第9章 女子会
「鍋がふたつしかない…」

あれこれ材料をキッチンに並べた貴子さんがあきれ声をあげた。

「…それ、長谷川くんにも言われました」

「ハル、来たんだ?」

腕組みして調理の段取りを考えていた貴子さんは、
よし!という風に野菜を切り始めた。

「コンビニで偶然会って鍋することになってDVD見ながらよく眠って帰りました」

ジャガイモの皮を剥きながら、わはは!と貴子さんは豪快に笑った。

「あの子ね、昔から緊張すると眠くなっちゃうのよねぇ」

そっかそっか、とニヤニヤしている。

ナルコレプシー。
緊張やストレスを感じると眠くなってしまう睡眠障害。
長谷川くんも緊張していたんだ。
ヤバい、私もニヤニヤしそう。

手際よく作られた料理が並び、
じゃーん!と取り出されたワインを開けた。

「かんぱーい」

たくさん食べなきゃダメよ、と言う貴子さんはお母さんみたいだ。

cocoliと自分の近況を話してくれたあと、
お天気の話でもするみたいにさらりと

「ハルとなんかあった?」

と聞いてくる。

今日の長谷川くんは貴子さんいわく、
『虫歯を我慢しているボケ老人』
みたいだったそうだ。

「ミョーに真剣な顔で考えこんだり、時々ぼんやりしたり、菜緒ちゃんの話題が全然出ないし」

「はぁ…」

どう答えていいかわからずに、カブのクリーム煮を口に運ぶ。
美味しい。

「前にね、それを試作でハルに食べさせたら、菜緒さんが好きそうって。そんなことばっか言ってるのにね」

美味しくて泣きそう。

「お節介なのはわかってるんだけど…ほら、貴子叔母ちゃんは過保護だからさ」

「ボディーガードですもんね」

フフッと笑いながらグラスの縁を指でなぞり、
少し真剣な口調になる。

「あの子ねぇ、感受性が強いと言うか、洞察力に長けてるというか」

いろんなものが見えちゃうし、
見ようとしちゃう人。

「霊的なそーゆうのじゃないのよ」

小さい頃から人の心の動きに敏感だったそうだ。

「あの子あんな感じだからモテるんだけど、好意だけじゃなくて、やっかみもすごーく感じちゃうのよね」

「それは…しんどいですよね」

「社会人になっても、新人なのにどんどん大きな取引を任されたりして…そういうのって、ね…」

ひがみや妬み、あるだろうなぁ、特にああいった実力主義の世界では。


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