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キミといる場所
第9章 女子会
木戸社長に守られて暮らす自分を
一瞬でも想像した私の心が、
長谷川くんに見えたのだとしたら…。

あの夜、いつもと違った長谷川くんに、
なぜもっと優しくできなかったのか。
意地を張らずに『好きだ』と言えばよかったのだ。
そうすれば、彼を傷つけずにすんだのに。

黙りこんでしまった私を、
貴子さんはじっと見つめる。

「菜緒ちゃんのことも心配なのよねぇ」

「私?」

「そう、あなた頑張りすぎ」

私のグラスにワインを継ぎ足し、
自分のグラスにもたっぷりと注いでぐいっと飲む。

「頑張ることを頑張ってるように見えるんだわ」

頑張ることを頑張っている…。
痛いところを突かれた感に私はしおれる。

「なにか抱えてることがあって
それがふたりの間で問題になっているのなら、
私で良ければチカラになれないかしら…
って思ったのよ。
一応、二人よりちょっと長生きしてて経験値もあるしね」

貴子さんの気持ちが嬉しくて
過去からすべて話してしまいたい衝動に駆られる。

「…って、まぁね、あなたたちがちゃんと付き合ってるのかどうか、そこから叔母ちゃんは心配なんだけれども」

互いの想いを語り合ったことのない私たちは、
まだ何も始まっていない。

長谷川くんとちゃんと話さなくちゃ。
全部知ってもらって、それで失うのなら仕方がない。

「ちゃんと付き合えるように頑張ります」

「あ、また頑張る発動」

「あ…」

「菜緒ちゃんはね、まず鍋を買うところからよ!」

げ、また痛いところ突かれたぜ。




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