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その瞳に…
第23章 小さな秘め事
けれど、学校ではそんな事は話せないし、どこでそれが漏れるかも解らない為、ずっと話せずにいた。

絵麻は、沈黙する舞奈を何も言わずに待つ。

舞奈から言ってくれるのを、ただ静か待った。

舞奈は、ぎゅっと手を握り、絵麻の顔を見る。

「あのね!」

舞奈は真剣な眼差して絵麻を見詰める。

「相手はね、社会人で。それで、高校生と付き合ってるのが知れると、ちょっと不味い職業でね」

「うん」

「だから、付き合ってるって、言えなくて…その…ごめん…」

勢いを込めて話し始めるが、最後の方は段々と声が小さくなり、ごめんに至っては、小さく呟く位になっていた。

絵麻にあわせていた目線も、段々反らし、最後は自分の膝を見詰めていた。

「ん~…」

その言葉を聞いて、絵麻は空を見上げる。

「って言うか、その彼氏ってさぁ…」

絵麻はふと、視線を舞奈に戻すと、その先にある渡り廊下を歩いている人物を見付け、その相手に声をかける。

「山村せんせー!」

(え?)

絵麻の声に、舞奈は顔を上げ、渡り廊下を見ると、そこには白衣を着た大河が歩いていた。

「先生!ちょっと」

絵麻は大河にジェスチャーで、こいこいと手招きする。

呼ばれた大河は、室内履きのまま舞奈達の所へとやってきた。

(え?え?)

絵麻の意図が解らず、舞奈は混乱するが、絵麻はそんな事気にしていないようだった。



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