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その瞳に…
第27章 目覚め
 舞奈は、ふと由美に言われた言葉を思い出す。

 『・・・きっと、あのままヤられてたら、心が埋まらないまま、快楽だけを覚えて、体だけの安心を求める人間になってただろうね』

 その言葉の意味を、舞奈は今しっかりと理解した。

 誰かに滅茶苦茶犯して欲しい、そう思っていた自分は、大河に出会わずにいたら公園での事も恐怖を感じながらも、与えられる快楽に溺れていたかもしれない。

 そして、きっとそうなっていたら昨日の事も、嫌悪も恐怖も感じず、受け入れ快感を覚えていたかもしれなかった。

 そうなってしまったら、自分は誰構わず体を差し出し、快楽だけを求める人間になっていたと思う。

 人から与えられる快感は、自分でする時よりも何倍もの快楽になる。

 昨日の事でも、大河以外で与えられる快楽に嫌悪しながらも、実際は少しは感じてしまっていた自分がいた。

 あの時は、相手が渡辺だったおかげで、心と体が拒否し、イク事はなかった。

 (本当に、先生と出会えて良かった・・・)

 眠る大河の顔を見つめながら、舞奈はそう思った。

 自分が道を踏み外さず、普通に過ごせていられるのも全て大河のお陰だと思う。

 (いや?生徒と教師だから、実際は道少し踏み外してる?)

 ふと、そんな事も思ってしまったが、それは卒業してしまえば問題なくなるので、良しとした。

 (でも・・・)

 ふと、舞奈は思う。

 昨日の車内での事。

 もし、相手が大河だったとしたら、と考えてしまう。

 人が大勢いる電車内。

 何時人に見つかるか解らない場所。

 それでも、大河がしてきたのならば、きっと舞奈は受け入れていた。

  
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