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その瞳に…
第28章 大人の対応
 早百合は中々顔を上げない舞奈の肩に手を置き、優しく語りかける。

 「ねえ、舞奈さん顔を上げて?私達は誰も迷惑や負担になんて思っていないから。それに、成滝が大切にしている友人の彼女の貴女に何かあった方が、私としても嫌だわ」

 優しく語り掛ける早百合に、舞奈はまだ少し不安げな表情で顔をあげると、そこには声と一緒で優しく微笑む早百合の顔があった。

 「でも、もし早百合さんに何かあったら、私いやで・・・」

 その言葉に、早百合はフフっと微笑む。

 「大丈夫よ、私こう見えてもそこそこ腕はたつし、今なら大勢人もいるわ。彼が何かしてきても、声を上げてしまえば、周りが見方してくれるし、すぐ目の前に交番もあるしね」

 軽くウインクしながら明るく話す早百合に、舞奈はやっと笑みを戻す。

 「本当にありがとうございます」

 表情が戻った舞奈を確認した早百合は、肩から手を離しいいえ、と微笑む。

 「舞奈さんは山村さんの大事な恋人だもの。成滝が大切にしたい人の一人なのよ。それなら、舞奈さんは私の大切にしたい人にもなるもの」

 自然と出てきたその言葉に、舞奈は早百合がどれだけ成滝を思っているのか解る。

 前に大河が早百合達は成滝が喜ぶことなら何でもすると言っていたが、それは本当に成滝を思っているからなんだろうと、核心する。

 しかし、そんな気持ちを持つ女性が他に何人かいて、全て成滝の彼女なのが舞奈にはまだ少し複雑だったが。

 「あの、じゃあホームに行きますか?」

 成滝と早百合達の事はあまり考えない様にするため、舞奈は早百合にそろそろ電車が来る為、改札の方をさしながら問いかける。

 「いいえ、舞奈さんは今日は車で送って行くから、電車には乗らないわ」

 「え?」

 早百合の言葉に、なら何故待ち合わせを駅に?と舞奈は疑問に思うと、早百合は微笑みを崩さずに話し始めた。

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