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その瞳に…
第33章 冬の空
 食事を終え、片付けや洗濯等を済ました頃には、15時を回っていた。

 「じゃあ、そろそろ出ようか」

 部屋着から着替えた大河は、舞奈の準備が終わるのを見計らって声を掛ける。

 「え?もうですか?」

 ここから成滝の店までは車で一時間も掛からない。

 流石にこんなに早く店が開いてるとは思えない舞奈が、不思議な顔をしていると、大河は自身のダウンジャケットを寝室から出し、舞奈に渡しながら話しかける。

 「店に行く前に寄りたい所があるんだ。多分かなり寒くなると思うから、これを着ておきなさい」

 舞奈は大河から手渡されたダウンジャケットを受け取りながら、どこへ?と問いかけるが、大河は微笑むだけで、行き先は教えてくれなかった。

 二人が乗った車は、成滝の店の方向へ進む。

 (お店の方には向かうんだ・・・)

 どこへ行くのだろう、と舞奈は不思議に思う。

 成滝の店がある場所は、舞奈はあまり行った事が無く、何があるかもわからない為、まったく見当がつかない。

 しかも、かなり寒くなる、と言う事は外に用事があるのだろうか、と一人悶々と考え込んでいると、隣からクスっと笑いが漏れる。

 「そんなに、考え込まなくても、変な所には連れて行かないから、大丈夫だよ」

 考え込んでいる顔を笑われ、そんなに変な顔をしていたのか!と舞奈は恥ずかしくなり、顔を見られないように、外の景色を眺める事にした。

 外の景色を見ていると、車はどんどん山の方へ向かって行く。

 (ここ、成滝さんの店の近くにあった山、だよね)

 こんな山の中に、なんの用事だろう、と疑問に思いながらも舞奈は外の景色をじっと見つめた。

 
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