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その瞳に…
第33章 冬の空
 舞奈はテンションが上がり、崖のギリギリまで体を寄せて、イルミネーションを見つめる。

 いつもは見上げているイルミネーションは、今は夜景の様にきらめいていて、舞奈は目をキラキラさせ大河に微笑む。

 「先生、良くこんな場所知ってますね!誰も居なくて、イルミネーションを独り占めです!!」

 二人なのに?と心の中で笑いをもらしながらも、とても嬉しそうにしている舞奈を見て、大河は満足する。

 「ここはね、実は私有地なんだ。・・・まあ、成滝の関係のだけれどね。だから、誰も来ないんだよ」

 ぎゅっと舞奈を抱きしめながら、大河もイルミネーションを見つめる。

 「でも、なんか意外です。先生、イルミネーションとか見るんですね」

 舞奈の言葉に、大河は心外だとでも言いたげに、微笑む。

 「僕はこういったのは好きだよ。人類の化学の結晶が詰まった物だからね。特に青色発光ダイオードには敬意をはらっている。見ていて飽きない」

 とても楽しそうに話す大河を見て、そう言う意味じゃ・・・と舞奈はガックリを肩を項垂れる。

 (でも、なんかすっごく先生らしいかも・・・)

 家にある科学の本等を見ていると、本当に好きなんだろうな、と苦笑する。

 自分とは同じ理由でない事は、ほんの少し寂しくなるが、それでもこの綺麗な光景を一緒に見れた事は舞奈にとって嬉しく思える。

 「ま、冗談はおいといて。君が喜ぶかな、と思って連れてきたんだけどね。喜んでもらえて何よりだよ」

 大河は、舞奈の顔を持ち上げついばむ様な口付けをする。

 「ん・・・」

 優しい口付けに、舞奈は抱きしめられている大河の腕をぎゅっと握り締める。

 何度か口付けを交わし、顔を上げた大河は、舞奈を見てフっと笑いを溢す。

 「・・・そんな顔をして、僕を誘っているのかい」

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