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第37章 日常の中の非日常

　ぽーっと舞奈が早百合に見とれていると、成滝は大河に向き直り、明日香の話に戻る。

　「ああ。実家に帰る度教えろと煩いけど、知ったら押しかけてくるの見えてるから、親にも教えてないよ」

　大河はとてもめんどくさそうな顔で、肩をすくめる。

　「それに、今は舞奈をたまに泊めるからね。邪魔されたらたまったもんじゃない」

　キッチンから戻ってきた舞奈を、自身の横に座らせ大河は舞奈の体を引き寄せる。

　「だから、お前も変な事を明日香に吹き込むなよ」

　舞奈の頭を撫でながら、大河が成滝に注意すると、成滝と早百合は一瞬視線を合わせ、笑い出す。

　「実は、明日香さんお店に来て、大河さんの家を教えてって騒いだことあるのよ」

　その時の事を思い出してるのか、早百合は口元を隠しながらフフフと楽しそうに笑う。

　「そうそう。開店前に襲撃されてね～。やんわりと早百合が追い出してくれたから良いけど、ホント明日香の行動力はハンパないわ～」

　成滝の口調は軽いが、実際は本当に大変だった事が、苦々しい顔つきで舞奈にも解る。

　「あの・・・そんなに、なんですか？」

　早百合に喧嘩を売るといい、成滝の店にまで押しかけるといい、兄弟がいない舞奈でも明日香のブラコンっぷりは物凄いものだと解り、大河におずおずと尋ねてみる。

　その問いかけに、大河はん～と少し考えた後、小さくため息を漏らす。

　「あいつはね、両親が甘やかして育てたお陰で、自分の周りにいるのは全部自分の言う事を聞いてくれると思っているんだ。僕はそこら辺がめんどくさくてね、途中からあいつを放置してたら、何故か僕に付きまとうようになったんだ。多分、自分の言う事を聞いてくれないのが、面白くなんだろう」