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その瞳に…
第38章 冬休み
 普段どんなに自分が気をつけているつもりでも、見てる人にはバレてしまうのだろうか。

 舞奈が困惑し黙ってしまうと、絵麻がポンポンと舞奈の頭を叩いた。

 「だいじょぶ。美和なら周りにベラベラ言わないだろうしさ。それに、周りはまだ気がついてないっぽいから、これから気をつけたら?」

 そうそう、と美和も笑いながら舞奈を優しく見つめる。

 「二人とも、ありがとう・・・」

 舞奈は先ほど驚いた事で止まっていた涙がまだじんわりと溢れてくるのが解る。

 (私、ほんと周りに恵まれてる・・・)

 周りの優しさに舞奈は感動していたが、すぐに女性の声で現実に引き戻される。

 「じゃあ、本当にバラすからね!後、私の友達達にも大河がロリコンだって言いまわってやるんだから!!!」

 良く見るとスマホを手にする女性が、大河から少し離れながらもヒステリックに叫びだしていた。

 「あ、ありゃめんどくさいタイプの女だ・・・」

 「火に油そそいじゃったね~」

 ハラハラと見つめている舞奈を他所に、絵麻と美和はのほほんとした声をあげる。

 「これは先生がヤバイかな~」

 「でも、山センの授業楽しいから辞めて欲しくないよね~」

 こんな状況で何を暢気に!と舞奈が思っていると、絵麻と美和は顔を見合わせ、ニヤリと笑うと、舞奈の腕を二人でグイっと引っ張った。

 「やっほー大河セーンセ!!!」

 「えっ!?」

 絵麻と美和は舞奈の体を両方から腕を組みながら引く様に歩きだすと、絵麻が思い切り大きな声で大河に声を掛けた。

 「っ!?」

 いきなり声を掛けられた大河と女性は、驚いたのか顔を少し強張らせせながら舞奈達のほうを振り向く。

 「な・・・舞・・・君たち」

 驚いたせいで一瞬、大河は舞奈の名前を呼びそうになるが、すぐに言いなおす。

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