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第38章 冬休み

　「は？なんなの、あんたたち」

　女性の方も、理性が戻ったのか先ほどまでのヒステリックな声と違い、少し冷静になった声ではあるが、突然現れた舞奈達を非難するかの様な視線を送る。

　しかし、絵麻と美和はそんな事をまったく気にせずに、気まずそうな表情を浮かべた舞奈を引きずりながら大河の横に移動する。

　「センセ、こんばんわ。こんな所で何してるんですか？」

　絵麻は大河の横に立ち、学校にいる時と変わらない態度で大河に挨拶する。

　「ちょっと！何無視してるのよ！」

　そんな自分を無視し大河に話しかける絵麻の態度に腹が立ったのか、女性はグイっと絵麻の肩を掴む。

　すると、絵麻は女性に向き直り、女性がそんな対応をする事を見抜いていたかの様に驚きもせず、クスリと不適な笑みを浮かべた。

　「いい年した女性が大声ってみっともないですよ？向こうの道にまで聞こえる声で」

　その言葉に女性は一瞬にして顔が高揚し、絵麻に何かを言おうとするが、グっと我慢するように唇を噛む。

　女性が少し落ち着いたのを見て、絵麻とのやりとりを見ていた大河は、少しほっとした表情を浮かべた後、舞奈達に向き直る。

　「佐々木さん」

　絵麻の名を呼んだ大河は先ほど女性に見せていた苛立った表情から、教師としての表情に戻っていた。

　「声を掛けるのは良いけれど、見知らぬ女性にそういった態度は止めなさい。何かあったらどうするんですか」

　「スミマセン。ついクセで」

　自分を注意する大河に、絵麻はまったく反省していない返事をする。

　大河は流石にその態度には呆れたのか、小さくため息を漏らすと共に、チラリと舞奈へ視線を向ける。

　「っ！？」

　視線があった舞奈は、気まずさのあまり視線を反らしたくなるが、それでも自分の左腕を右手で強く握り締め、大河と視線を絡ませる。