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その瞳に…
第10章 初デート
成滝の一方的なじゃれあいが終わると、奥から同じシェフの制服を来た女性と、エプロン姿の女性が出てきた。

「成滝さん、遊んでないで。ソロソロ開店の時間ですよ」

シェフの姿をした女性に指摘され、三人は時計を確認する。

時刻は11時になる所だった。

「ヤバイ、大河で遊びすぎた!白鳥は店上げて、木ノ下は二人を案内してあげて」

二人は成滝に指示をもらい、はい、と答える。

「大河、メニューはお勧めで良いよな」

先程の成滝の言葉に釈然としないままで、大河はそれで、と答えた。

「じゃあ舞奈ちゃん、腕を奮うから沢山食べていってね~」

ひらひらと手を振りながら厨房へ戻る成滝に、舞奈もつられて手を振り替えす。

「では、お二方、此方にどうぞ」

木ノ下と呼ばれた女性は、二人を席へと案内する。

店内を通り過ぎると、一番奥に扉があった。

扉を開けると廊下になっており、木ノ下は一番奥の部屋に二人を案内した。

部屋は10畳程の広さに、壁には店内と同じようにキルトが飾ってある。

部屋の真ん中には、セットされた机がひとつ。

「どうぞ」

と、木ノ下は椅子を引き、舞奈に座るよう促す。

慣れない対応に、舞奈は緊張しながら座った。

同じように大河を座らせた木ノ下は、ゆっくりと頭の下げる。

「本日は当店をご予約いただき、誠にありがとうございます。此方の部屋は店とは切り離した状態にございますので、ご用意が御座いましたら、机にあるボタンをおして下さい」

淡々と話す木ノ下の言葉を、舞奈は緊張しながら聞く。

「お手洗いは、右側の扉に御座います。お帰りの際は、左の扉になります」

木ノ下の説明に、舞奈は視線をやる。

(ホントに他の人と会わずにすむんだ…)
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