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want to be ...【短編集】
第6章 温泉旅行 2日目






広い浴槽、洗い場のその先の扉を開けると。


「っ…、わぁ…」


海の見える、デッキテラスの露天風呂。


…な、な、何だこれは。


凄すぎる…


昨日の温泉もだけど、あたしの思う"温泉"の概念を根本から覆されてるんだけど…


だってこんな一部屋が広くて露天風呂も付いてて、料理もすっごくおいしいみたいだし…、そんな凄い温泉に泊まれるなんて、今まで思いもしなかったからな。


くじを当ててくれた蒼汰と、もう一泊考えてくれた大樹さんに感謝だ。


…それにしても。


「…、えぇ…」


このお風呂に、あたしと蒼汰で入るのか…


…待って、これ結構恥ずかしい。


それに蒼汰、ここでエッチするって…


「…、無理無理無理…」


そりゃ…しょ、しょっちゅう一緒に入ってるけど。


温泉、となったらなんか違う気がする…


なんだかヤらしい…


悶々と考えてたあたしの身体に、後ろから腕が回った。


「杏奈ー…」


「ひゃっ…!?」


「夜楽しみにしてろよー…」


突然の事に驚いたけど、呆れてため息を吐いて蒼汰を見上げた。


「…、露天風呂?」


「うん…」


「ん、楽しみだよ。だけど蒼汰、大丈夫なの?」


「…、あーマジで気持ち悪い…」


「もー、あんなせっついて食べるからでしょー?」


「だって腹減ってたんだもん…」


「しかも2つも頼んで…」


「マジで腹減ってた…」


「お水は?飲んだ?」


「飲んでない…」


「じゃあお水飲も?少しはよくなるかも」


「なら膝枕で口移しで飲ませてー…」


「わがまま言わないの〜」


「じゃあ飲まない…」


お風呂から出て歩き出すあたしを抱き締めたままついてくる蒼汰。


すごく歩きにくい…


何とか歩いてソファに蒼汰を座らせ、机に置いてあるお水のペットボトルを差し出す。


「…ヤだ」


「なんでっ」


「膝枕で口移しじゃないとやだー…」


「お水くらい自分で飲みなさいっ」


「杏奈ぁ〜」


…う、わ。


今更だけど、甘えてる蒼汰ってものすごく貴重だ。


「…」


目を閉じてソファに深く凭れ掛かってる蒼汰を少し見つめた後、ペットボトルの蓋を開けて口に含む。


そして、蒼汰の肩に手をかけ、顔を傾けた。


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