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溺れる恋は藁をも掴む
第2章 初めての夜
ソファに並んで座った。

「緊張してる?」

「うん」

「なんか飲む?」

「いっ‥‥今はいいかな‥‥」

「ならキスする?」

「えっ⁉︎」

そう言った私の唇を塞ぐように、
アキは唇を重ねた。
フワッとした感触が伝わる。
チュッという感じのバードキス。

「少し緊張ほぐれた?」

「余計‥‥ドキドキす‥‥」

言葉が言い終わらないうちに、
またアキが唇を重ねた。

今度は唇を何度も合わせて、
ジワジワと感触が唇に残るほど濃厚なキス。
アキは私の唇にそっと舌でノックして、
優しく私の唇を割って入り、
絡めた。

うっ‥‥蕩ける‥‥‥

「うっ‥‥うん‥‥」
甘いキスに酔ってしまった私は、
短く感じた声が自然に出てしまう。

恥ずかしくてずっと目を閉じたまま。

アキは唇を離し、
私の瞳にそっと唇を添えた。

目を開けた私。
アキの顔が近い。

アキの瞳は優しく私を見つめた。
アキの人柄を表すような、
優しい瞳。
それでもその奥に見え隠れする影。

「シャワー浴びる?」

「うん」

「先に浴びてきなよ。
華」

アキが私を初めて名前で呼んだ。


照れてにやけてしまう顔になる前に立ち上がり、
「じゃあ、浴びてくる」
と一言残してバスルームに向かう。

私の赤面してにやけた顔がバスルームの洗面台の鏡に映り、見られなくて良かったと胸を撫で下ろした。
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