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時計草
第3章 敏也…26歳
私は余韻を楽しむ間もなく…
“もう!朝からこんなことしてちゃ遅刻しちゃうわ。早くお店にいらっしゃい…”

そう敏也に声をかけて身仕度をなおして店に戻った…
いつもは長い黒髪をしっかり束ねて上げておくんだけれど敏也との行為ですっかり乱れてしまっている…
とても直している時間がないから私は横に流しただけでお店に戻った。


店には2人のお客様が増えていたがこちらも常連さんだから煙草を吸いながら
新聞を読んで待っていてくれた。

“おはようございます。ごめんなさいね…すぐ支度するわ…”と言うと
“あぁ…急がなくていいよ…”と言ってくれる。
ちらっと顔をあげて
“あれ?むっちゃん、髪、どうしたの?さっきと違う…”
“あら?気づいてくれた?”
“そりゃぁもう…むっちゃんのこと、いっつも見てるもん。”
“まぁ…嬉しい…ちょっときつく縛りすぎてね…”

“ふぅん…”
もう興味はない…と言った感じで新聞に目を落とす。


そう、余分なことは言わなくていいの…
下手に遅れた理由を言うと上げ足取られたり墓穴を掘るから…
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