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大きな瞳に映るのは
第22章 彼の思考回路



『 あー、そういうこと? 』


その様子を見ていた遙が
何かに気付いたように言う。

するとさっきの飴玉をぽけっとにしまった。


「 … へ、 」


少し残念になりぽけっとの中へ消えた飴玉を見る。


『 手、ふさがってるから食えないんでしょ? 』

『 じゃあ、はい 』


そう言って遙は自分の舐めていた飴を差し出す。


「 … はい? 」


理解が出来ず差し出された飴を見つめる。



『 袋ついてたら食えないんでしょ? 』


確かにそれはそうだけど…
でも、そんなさっきまで遙の口の中にあった飴玉をそんなにさりげなく差し出すなんて…


たじたじしながらその飴玉を見つめる
廊下を行き交う生徒も私たちのその様子を目にとめているようだった。


ピトッ

「 … んっ 」

『 じれったい。口開けて 』


そう言った遙は飴玉を私の唇に当てる。

周りの生徒の様子が気になるが
それどころじゃない。
目の前に居る彼から目が離せない。


チュ

私は口を開け無理矢理気味にも飴玉を口の中に入れた。


『 よくできました。』


ニコッと遙が笑う。
周りの生徒から、遙ならまあ、ありえる行動だな。
なんて言っているのが聞こえてくる。


そんな大衆の言葉も耳に入れようとしない遙。
行こうぜ、と視聴覚室へ足を進める。
それを斜め後ろから追う私。


口元には飴玉。


渡り廊下に出る瞬間振り返り私の存在を確認する遙。
目がぱちっと合うと
ふ。と少し笑みを漏らしていた。



反則だ、それ。
その不意に見せる笑顔、
予測不能な遙の行動。

ぜんぶぜんぶ。反則だ。


さっきまで遙が舐めてた飴玉。
それが口の中に。甘いあまい味が口いっぱいに。


ドキドキと高鳴る心臓と共に
視聴覚室へ向かった。


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