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大きな瞳に映るのは
第8章 人気者


― 音夢 side ―



校舎から出ると
奏先輩に数人の女子が駆け寄ってきた。

そりゃこんな格好いい人だったら
集まってくるよね…

会話の中で『彼女』という単語が聞こえた。

そんなミラクルじみた話があるかい!!

なんて心の中でツッコミを入れる。


私に彼氏が出来たのは一度だけ。

生徒会メンバーの蒼真だ。

私が中学二年のころ
蒼真に何度もお願いされた。

まさかあんなやる気のない人が
私に夢中だなんて
ビックリしてOKしてしまった
のが始まりだった。


でもやっぱり好きという感情は
生まれなかった。
蒼真はいい人だ。だから聞き入れてくれた。
1か月だけの関係。
キスもセックスもしてない。


これを思うと
遙先輩のこともわからなくもない。

けれど、中学と高校じゃ
全く違う気がする。



ボーっとそんなことを考えていると
奏先輩が再び私の手を握って歩き出した。


「 勘違いされちゃいますよ。 」


そう伝えると手を放してくれた。

勘違いされるのは構わないけれど
私の身が持ちそうになかったので
正直ほっとした。


『 これから先はまた今度 … 』


奏先輩が
なんだかよくわからないことを
言っている様な気がした。
けれど考えるのが面倒なので
聞かなかったふりをした。



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